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めにまね
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2005-06-27

倫敦指令X2 §10

「オアズカリシマス」
「ああ」
 東洋人は、黄金に輝く剣を人形に預けると、尻餅をついたルヴィの前に跪いた。その手がゆっくり差し出される。
 その佇まいに敵意は感じられないが、なにしろ突然現れるや一瞬にしてルヴィと敵の双方をなぎ倒したのだ。何をしでかす気か、しれたものではない。
「あんた、召還場と、講堂じゃ二階席にいたよな。上級魔術師って奴だろう?」
 背中に立つ機械人形は忠実に主人の声を模してみせた。
「狙ったのか?」
「何を言っているのか、わからないわ」
 逡巡したものの、結局差し出された手を取って、ルヴィは起きあがった。男に引っ張り上げられるように立ち上がる。ドレスの汚れが気にはなったが、払おうにも血で汚れた手ではどうしようもない。
Lavage et blanchissement洗浄と漂白……」
 無意識に発声をしようとした――時
 がっ!
 細首を捕まれ、ルヴィの声帯は、
「ひゅう!」
 と、別の生き物のような喉を鳴らす。男が首を掴んだままルヴィの身体を持ち上げると、顎が上がり、屈辱に目元が熱くなった。
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2005-06-21

倫敦指令X2 §9

 偏光サングラスを思わせるどんよりとした暗褐色の膜が、半径三十メートルほどの半球を描いて周囲を覆っていた。こちらを気づきもせずに行き交う人々は、幕越しに霞んで見えて、現実感の希薄な存在と化している。すべては堅牢な結界のせいだった。
 この、時計塔の人間にとって聖地とも言える強力な結界地、リージェンツ・パークの中でこれほどの遮蔽空間を生み出すとは――ルヴィアゼッタ・エーデルフェルトは心の片隅でわずかに感心する。もっとも残りの大半を占めるのは、彼女に対する無礼への憤りであった。
E'crasement破砕
 軽い手振りと共に幾度めかの呪文を構成する。が、その効果は、今回も一向に現れはしなかった。無効化されたわけではない。力で負けているか、あるいは力のかけ方が間違っているのだろう。
 事に臨んで、冷静に判断できるという事実にルヴィは満足を覚えた。襲われたことなど生まれて初めてだったのだ。いや、そもそも魔術を用いて人と争うこと自体が初体験だ。間違えようもない圧倒的な魔力のオーラと持ち前の家柄が、他者と争う機会を作らせなかったのである。
 これは、初めての実戦だ。
 ルヴィは、呪文の質をわずかに変えてみた。
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