めにまね
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フルメタル・パニック!

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PDF:前戯なきファンシー



 カコーンと鹿威しの響くなか、お蓮さんに貞操の危機が迫る。しかも、そのお相手は……ボン太くん!?

 例によってコミケの朝に書き上げたコピー本。あの、これってサイトで連載していたのでは? とか、それより『あてにならない四番打者?』はどうなったの? とか、さまざまな謎を残しつつ出しちゃいました。表紙の閣下ボン太くんが異様にラブリーです。

PDFでアップしました。こちらからどうぞ。(1.0M)

【DATA】
発行日:2004年12月29日初版
ページ:20P
収録作:前戯なきファンシー(作・文月十日)

五時間目のホット・ストーリー 12:バンド・ワゴン(後)

「それにしても、首都の庁舎を炎上させるなんて、彼らも思い切ったことをしましたね」
 制服のスカートから柔らかそうな太ももを覗かせて、敷き布団の上に窮屈そうに正座しながら、テッサは言った。
「いえ、奴らの目的はもっと小規模なものでした」
 こちらは背筋を伸ばし、足をきちんとたたんだ学生服姿で、どこの葬式に出しても恥ずかしくない恰好の宗介が応える。その横では、黒いタンクトップに都市迷彩のパンツをつけて、正座ができないものだから胡座あぐらをかいたマオが、座布団の上でうんうんうなずいている。
「それってどういうことです? 説明してください」
 その声に膝でずいとにじり寄ると、軽く握った両手のこぶしをももにあてて、宗介は語り始めた。
「はい。奴らの直接目的は、都知事執務室の破壊にありました。犯行声明からそれが容易に想像できましたので、我々はまず爆発の阻止を目指しました」
「それはうまくいったんですよね? 爆弾を冷却して爆発を阻止したと聞きましたが」
 そう言いながら少女はそっとみぞおちを押さえる。友軍のゴム・スタン弾にそこを撃ち抜かれて気絶してしまい、そのあたりの説明を彼女は聞くことができなかったのだ。
「作戦の第一段階は成功しました。ただ、本来なら液体窒素を使うところだったのですが、なにぶん時間がなかったもので……」
LNG液化天然ガス使っちゃったのよ」
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五時間目のホット・ストーリー 11:バンド・ワゴン(前)

 ボタンを押した瞬間、都知事執務室を中心に爆発が起き、それは都知事が脱出していなければ確実に彼の命を奪っていたに違いないものになる──はずだった。少なくとも彼らはそう聞いていた。
 だが、ふたりが何度スイッチを押してみても、爆発は起きなかった。
「ふもっふ」
 南塔のボン太くんが言った。
「ふもっふ」
 北塔のボン太くんも言った。
 片やフリップで、片や石盤で、ボン太くんは説明する。そこには、『残念だったな、既に爆破装置はマイナス百六十度にまで冷却、雷管は無効化されている。爆発はしない』と書かれていた。
 その文字にがっくりした男たちに、ボン太くんズは『貴様らが知事を狙っているのは明白だった。今度からはもっとうまくセットするんだな』と、追い打ちをかける。
 ボン太くんに完膚かんぷなきまで叩きのめされ、犯人たちからは、もはや立ち上がる気力すら失われていた。
「これで無事解決ってわけ?」
「ふもっふ」
 かなめの質問に東京ボン太くんは大きく首を横に振った。そうなのだ、彼らにはまだ脱出というツメの仕事が残っていたのだ。マスコミの好奇の目から逃れ、なにごともなかったかのようにふたりの少女を、そしてボン太くん自身を逃がさなければならないのだ。
 ふたりのボン太くんは、早速行動を開始した。
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五時間目のホット・ストーリー 10:タワーリング・インフェルノ(後)

 同じとき。
 もう十分以上も同じところをもまれつづけて、テッサの柔らかな二の腕には、軽い内出血の跡が浮かびあがっていた。
「あのぉ、もう止めていただけませんか。ちょっと痛みだしたんですが……」
 痩身の男を刺激しないように、ためらいがちに声をかける少女に、しかし返ってきた言葉は冷たかった。
「ダメ。どうせ、そんなに長い間じゃないんだから、それくらい我慢しなよ」
「長くないんですか……わたしたち……」
「もうちょっとの辛抱しんぼうさ」
 男の言葉に、テッサの絶望感がつのった。辛抱するのはいい。だが、そのあとはどうなるというのか。
 そのときだった。
 チン。
 テッサの背後でエレベーターの到着音が鳴った。
 あわてて立ち上がろうとするが、ストールにつながれた腕が邪魔で、スムースに動くことができない。
「!」
 一足先に立ち上がった男が息をむ音が聞こえた。
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五時間目のホット・ストーリー 9:タワーリング・インフェルノ(中)

「なるほど、それであんたたちは決起したってわけね」
「ええ、これで我々が超高層痴漢ではないないことを認識していただけましたでしょうか」
「うん、それは理解した」
「よかった。ですから、我々はあくまで基本的人権を守るべく戦う正義の集団なわけです」
 そう言うと、男は紅茶を飲もうとカップを持ち上げかけて、悲しげな顔とともにそれをソーサに戻した。
「あれ? もう切れちゃった?」
 憂鬱そうに彼がうなずくと、かなめは席を立って、カウンターの裏へお替わりをれに行った。彼女以外の人間を追い出したものだから、このフロアはもうふたりっきりの貸し切り状態なのだ。初めのうちこそ、猟銃で脅されたあげく、とんでもない破廉恥はれんちな行為を強いられるのではないかと震えた少女だったが、どうやら彼は本当に新宿のホームレスのためを思ってこんな行動を取ったらしい。
 やがてかなめがティーカップにこぽこぽとお茶を注ぐと、男はミルクと砂糖をたっぷりと入れて、満足そうに味わった。
「いやあ、お茶までありがとうございます。どうです、あなたも我々に賛同していただけませんか?」
「う〜ん、でもさぁ、ホームレスって臭いじゃない。あたし、あれってダメなんだ」
「はあ、そんなことで人間を差別するんですか」
「あのさぁ、他人に好かれようと思うんだったら最低限の身だしなみくらいは整えるべきだと思う。自分たちの恰好押しつけて、自分たちが正しいって言われてもねぇ」
 そう言うと、彼女は目の前の空になった皿を見つめる。
「ねえ、ワッフル、もうひとつもらってもいい?」
 下から見上げる表情は、魅惑的な女性の媚びというよりも、お菓子をねだる子供のそれだった。
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五時間目のホット・ストーリー 8:タワーリング・インフェルノ(前)

 いくら東京を一望できるとはいえ、ひとりでぼうっと眺めているぶんには、その見事な眺望ちょうぼうはすぐに退屈なし物に変わってしまう。
(五十六対二十四、五十七対二十四、五十八対二十四、五十九対……ん、あれはどっちだ? 白……って言えるのかな?)
 もう十数分も前から窓の外を眺めるのに飽きがきたかなめは、退屈しのぎに白いビルとそれ以外のビルを数えてヒマ潰しをしていた。ところが白いビル五十八に対して、色つきのビルが二十四になったところで、微妙な色合いのビルに出会ってしまったのだ。
(グレーっていう分類を別に作るべきかな? ダメ、そしたら今度は白とグレーで迷うことになるだけだ)
 かといって、あの雑居ビルを白でないと言い切るには、躊躇ためらいがある。あれを白と呼ぶか、呼ばないか。ビルの命運を決すべく、少女はこげ茶の瞳を宿した切れ長の目を細めて、その建築物を凝視ぎょうしすると……
「はぁ……」
 さすがに空しくなって、かなめはため息とともに首をがっくりと落とした。
「なにやってんだろ、あたし」
 意味のない時間潰しを強いられる我が身を哀れに思う。と、甲高い女性の声が聞こえてきた。
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五時間目のホット・ストーリー 7:空中レヴュー時代(後)

 警備対象たるかなめとテッサに合流すべく、宗介が都庁一階のロビーにやってきたのは、それから優に十分は経過したあとのことだった。おまけに姿を現したのは彼ひとりではなく、色白の中学生とも見える小柄な少年もいっしょだった。
 声変りを迎えたとは思えないほど高い声でしゃべる相方に、険しい目の少年は無愛想に返事を返しながら、フロアを進んでくる。だが、それでも彼が相手の少年に心を許していることは見る者が見れば明白だった。もっとも、それを見て取れるほど彼とつきあいの深い人間はほんの数名しかいないのだが。

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五時間目のホット・ストーリー 6:空中レヴュー時代(前)

「三十二階から四十五階に行くのに、一度一階まで下りなきゃなんないなんて不便だよね」
「いや、それは違うぞ、風間。関係者と観光客の動線を分離するのは、警備する側としては常識だ。つまり展望台に向かうエレベータが直通なのはむしろ当然なのだ」
 ざんばらの髪の間から覗く意思の強そうな瞳が、自分より頭半分低いところにある、風間真二の童顔をまっすぐに見つめる。
「う〜ん、相良くんの言うとおりなのかもしれないけど、僕はやっぱり不便だと思……あっ」
 色白で目鼻立ちのぱっちりした、口さえ開かなければ美少年で通る彼が、突然耳を押さえて涙ぐむ。
「どうした? 頭痛と嘔吐はなさそうだな。だとすると青酸ガスではない。なら糜爛性のイペリットか……」
「え! 毒ガス!?」
「キャ──、助けてぇ!」
「停止ボタンを押せぇ!」
 太った中年が操作パネルに飛びつき、痩せぎすのOLがバッグから取り出したハンカチで口を覆う。よほど冷房に弱いのか、この残暑厳しい折にサマーコートを着こんだ男にいたっては、
「出してくれ! 俺にはまだやることがあるんだ!」
 などと大声で叫びだす始末。宗介の不用意な発言で、一坪ばかりの密室内は阿鼻叫喚の場と化してしまったのだ。

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五時間目のホット・ストーリー 5:気儘時代

「Twas brillig, and the slithy toves
Did gyre and gimble in the wabe:
All mimsy were the borogoves,
And the mome raths outgrabe.」
 鈴のように軽やかな声が教室に流れる。同時に、チョークが黒板の表面に身を削る、カツカツという音がリズムを刻む。
「文法的には中学レベルなので、みんなも簡単に訳せるわね」
 細身の英語教師は、ボブカットの若々しい髪をさらりとなびかせて振り向くと、静粛の支配する教室をくるりと見回す。
 だが生徒はといえば、まるでサーチライトから身を避ける脱走兵のように、立てた教科書の陰に顔を隠したり、露骨に目をそらしたり、そこまで行かずとも、それとなく視線を合わせまいと心掛けている。
 そのなかで、ただひとり、彼女と真っ直ぐに目を合わせる生徒がいた。
 そんな生徒の存在は、教師として喜ぶべきことだろうに、神楽坂恵里は彼の顔を見てふぅと溜め息をつく。なぜなら、当の男子生徒の視線の強さは、必ずしも出題に対する理解度の高さを示しているわけではないのだ。というより、たいていは頓珍漢な答えが返ってくることになるのだ。
 とはいえ、ほかの生徒たちはどうやら訳に自信がないようだ。この手の質問を浴びせると、いつもなら自慢気に彼女を見返してくるロングヘアの冴えた美貌の少女はなぜか身をすくめるようにしてこちらの、というより横からの視線を遮るようにしているし、いざとなれば解答をまかせようとしていた銀髪の留学生も、こちらを見つめまいと必死に顔をそらしている……というより、横を睨んでいるように見える。
 こうなると、教師としては選択肢が限られてしまう。

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五時間目のホット・ストーリー 4:恋愛準決勝(後)

(変な格好……)
 目の前の少年は、パイプ椅子に腰かけたまま下半身をすっかり露わにしている。白いシャツの裾からにょっきりとグロテスクな塔が立ち上がっている様は、なんだかおかしみを催させる。
 もっとも変な格好ということではかなめ自身だって負けてはいない。多摩地区では一、二を争う人気の、青い襟の清潔そうな白い夏服に、赤いリボンタイをキチッと締めていながら、その裾から覗いているのは青のスカートではなく白い肌に深く窪んだ縦長のかわいいおヘソだった。
 いや、それだけではない。その下には肉づきの薄い下腹部に続いて、濡れるように黒い縮れ毛がはっきりと見てとれる。おまけに脚は軽く広げられ、宗介の右の太腿を挟み込んでいる。何度も腰をこすりつけたせいで、そこにはなめくじが這ったような白い跡が残っていた。
 もちろん、かなめはただ腰をこすりつけただけでそこを濡らしてしまうような、はしたない女の子ではない。だが、宗介の中指が肉襞の入口近くを爪掻き、親指で包皮越しの肉芽にじれったい刺激を与えているとなれば話は別だった。
(うん、そう、ソースケが悪いんだから……)
 そう口の中で呟きながら、かなめは中指の腹を使って、少年の割れ目から漏れでるぬるぬるの粘液を、そこだけつるつるとした肉の矛先にまぶしていく。
 まだ授業が始まっていない時刻から制服を汚すわけにはいかないと、お互い下だけを脱いで始めた行為だったが、こうやって触り合っているだけでも気持ちよくって、脳みそが蕩けてしまいそうだ。
(でも……)
 もう始業まであまり時間がなかった。いつまでもこのまま、というわけにはいきそうにない。なんらかの終わりの形が必要だった。それに──さっき彼の精液を飲んだ興奮も、まだ目尻に刷いた赤味に残っていた。

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