猫と鈴(立ち読み版)§3 (了)
「気に入ってもらえて良かった」
「良かったなら良かったよ」
アホな会話をしてしまった。
してしまったついでに思い切って頭を胸に埋めてみた。我ながら大胆だなと思ったけど、顔を見つめ合っているのが恥ずかしくて、どこかに頭を埋めて隠したくなったのだ。
ぬるっとした感触が理樹の頬と首筋に伝わった。
来ヶ谷さんの胸の谷間ににじんでいた汗だ! 理樹の頬が耳が湿ってて信じられないくらい柔らかくて熱いものに包まれる。
「んっ!」
唯湖がいつになく甲高い息を漏らした。
「すごい、来ヶ谷さんの臭いでいっぱいだ」
「そ、そうか……汗臭い?」
「甘くていい臭いだよ、最高だ」
理樹は左右の乳房を掻き分けるようにぐりぐりと頭を押しつけた。そんなはずはないのだけれど、膨れた二つの乳球は理樹の頭より大きくて、頭ごと包んでしまうような気がした。
「一応シャワーは浴びたのだが、バトルに少々手こずったのかもしれないな。理樹君も強くなった」
「鍛えてるからね」
「では、これからお姉さんがもう一段“男”を鍛えてあげよう」
理樹を胸に埋めたまま、唯湖は腰掛けた背中からベッドに倒れ込んだ。つられた理樹は唯湖の上に覆い被さるように乗りかかる。理樹の全体重が唯湖の上へ乗る。
ふかふかだ、と理樹は思った。ありあまる柔らかさで理樹を包み込んでいる膨らみだけではなく、身体全体が柔らかい。シーツの上に広がる長い髪の先まで柔らかいのではないかと思った。
「来ヶ谷さん……」
「こういう時くらいは、名前を呼ぶものさ、少年」
確かに名前を呼ばれないのは傷つくな、と納得した。つくづく気の回る人だと思う。
「唯湖さん」
「なんだい理樹君」
余裕綽々だ。
「唯湖」
「…………」
唯湖の顔が真っ赤になった。
勝った。
「……意外と、恥ずかしいものだな」
「僕はリズベスでもいいよ」
「からかわないでくれ」
「じゃあ唯湖さんでいこう。僕も恥ずかしいし」
「うむ、じゃあそろそろ」
「期待されても困るんだけど……」
理樹は残念だったけど来ヶ谷の上から身を起こし、スラックスに手をかけた。少し身体をねじった唯湖がニヤニヤと見ている。理樹は身が縮まるような気持ちを抱えながら、一方で胸をはだけた唯湖の肢体に新たな昂ぶりを感じずにはいられない。
脱ぎかけのシャツ、外れた黒いブラ。小さな黒いショーツが丸見えのスカートにニーソ。
なんというエロ魔神。
あ……ありのまま 今見てるもののことを話すぜ! ワンダフルです、来ヶ谷さん。何を言っているのかわからないと思うけど、僕も何を見てるのかよくわかんない。頭がどうにかなりそうです。輸入盤ペントハウスとか情熱をもてあますとかそんなチャチなもんじゃ断じてない。もっとエロいものの片鱗を味わってます……。
理樹は時代遅れのテンプレを消化しつつ、プールの時間が待ちきれない小学生のように全力で服を脱ぎ捨てた。唯湖はギンギンに膨れあがった理樹のペニスをしばらく見つめて
「立派なものだな」
と褒めてくれた。ホッとしている理樹を見ながらゆっくりと自分のショーツに手をかけ、ふと手を止めた。唯湖はからかうように、
「自分で脱がしたいかね?」
「……っていうか、唯湖さんは服脱がないの?」
「着衣の方が理樹君がシチュエーション的に燃えるかと思ってね」
「そういうのいいから。僕は、裸の唯湖さんが見たい」
唯湖が固まった。
「理樹君はそういう所が、卑怯だ」
真っ赤な顔でつぶやいた。
「僕は唯湖さんのそういう所が可愛いと思うよ」
「今に見てろ」
と、唯湖は起き上がってはだけたシャツを脱いだ。几帳面に小さく畳むと上にブラを乗せる。
「かならず主導権を取り返してやるからな」
ぶつぶつ言いながら服を脱いでいく唯湖はかなり可愛かった。
その時
――ちりん――
と、どこかで音がした。
「あれ?」
理樹が声を上げると。
「どうした?」
裸になったとたん急に内股になり腕で胸を隠した唯湖が不思議そうな顔をした。
「今、何か聞こえなかった?」
「いや……」
唯湖は首を振った。
「正直、少々緊張していてね。周囲に気を払う余裕がなかった」
「僕も、そうだったんだけど……」
一瞬で我に返されたような、そんな清冽な音だった。
「気のせいかな……」
「理樹君」
理樹が首を捻っていると、ベッドから少々棘を含んだ声が飛んできた。
「私が意を決して服を脱いだというのに、キミの関心は着衣の時より薄らいだようだ。やはりキミはマニアックな性癖の持ち主のようだな」
「そ、そんなことないよ」
「ならばそれを証明してくれたまえ、態度で」
唯湖はちょっと拗ねているようだった。顔がゆでたように赤いのは怒っているせいか羞恥のせいかよくわからない。
こういう来ヶ谷さんが、もっとみんなにも知られればいいのに。
理樹の頭の中で『来ヶ谷さん』が。『唯湖さん』に変わる日はまだ遠そうだった。
「あんまりロマンチックじゃなくてごめんね。あとたぶん下手だけどごめん」
「ふむ……」
唯湖は少し機嫌を取り戻したようだった。
「お姉さんは頑丈だ。理樹君に好きなようにされたくらいではびくともしないよ」
ゆっくり脚を開くと、唯湖の黒々とした翳りの下に赤い卑唇がしっかりと見えた。理樹はそそり立った赤黒い首根を唯湖に見せつけるように、堂々と歩いていった。
【 第一章 了 】
「良かったなら良かったよ」
アホな会話をしてしまった。
してしまったついでに思い切って頭を胸に埋めてみた。我ながら大胆だなと思ったけど、顔を見つめ合っているのが恥ずかしくて、どこかに頭を埋めて隠したくなったのだ。
ぬるっとした感触が理樹の頬と首筋に伝わった。
来ヶ谷さんの胸の谷間ににじんでいた汗だ! 理樹の頬が耳が湿ってて信じられないくらい柔らかくて熱いものに包まれる。
「んっ!」
唯湖がいつになく甲高い息を漏らした。
「すごい、来ヶ谷さんの臭いでいっぱいだ」
「そ、そうか……汗臭い?」
「甘くていい臭いだよ、最高だ」
理樹は左右の乳房を掻き分けるようにぐりぐりと頭を押しつけた。そんなはずはないのだけれど、膨れた二つの乳球は理樹の頭より大きくて、頭ごと包んでしまうような気がした。
「一応シャワーは浴びたのだが、バトルに少々手こずったのかもしれないな。理樹君も強くなった」
「鍛えてるからね」
「では、これからお姉さんがもう一段“男”を鍛えてあげよう」
理樹を胸に埋めたまま、唯湖は腰掛けた背中からベッドに倒れ込んだ。つられた理樹は唯湖の上に覆い被さるように乗りかかる。理樹の全体重が唯湖の上へ乗る。
ふかふかだ、と理樹は思った。ありあまる柔らかさで理樹を包み込んでいる膨らみだけではなく、身体全体が柔らかい。シーツの上に広がる長い髪の先まで柔らかいのではないかと思った。
「来ヶ谷さん……」
「こういう時くらいは、名前を呼ぶものさ、少年」
確かに名前を呼ばれないのは傷つくな、と納得した。つくづく気の回る人だと思う。
「唯湖さん」
「なんだい理樹君」
余裕綽々だ。
「唯湖」
「…………」
唯湖の顔が真っ赤になった。
勝った。
「……意外と、恥ずかしいものだな」
「僕はリズベスでもいいよ」
「からかわないでくれ」
「じゃあ唯湖さんでいこう。僕も恥ずかしいし」
「うむ、じゃあそろそろ」
「期待されても困るんだけど……」
理樹は残念だったけど来ヶ谷の上から身を起こし、スラックスに手をかけた。少し身体をねじった唯湖がニヤニヤと見ている。理樹は身が縮まるような気持ちを抱えながら、一方で胸をはだけた唯湖の肢体に新たな昂ぶりを感じずにはいられない。
脱ぎかけのシャツ、外れた黒いブラ。小さな黒いショーツが丸見えのスカートにニーソ。
なんというエロ魔神。
あ……ありのまま 今見てるもののことを話すぜ! ワンダフルです、来ヶ谷さん。何を言っているのかわからないと思うけど、僕も何を見てるのかよくわかんない。頭がどうにかなりそうです。輸入盤ペントハウスとか情熱をもてあますとかそんなチャチなもんじゃ断じてない。もっとエロいものの片鱗を味わってます……。
理樹は時代遅れのテンプレを消化しつつ、プールの時間が待ちきれない小学生のように全力で服を脱ぎ捨てた。唯湖はギンギンに膨れあがった理樹のペニスをしばらく見つめて
「立派なものだな」
と褒めてくれた。ホッとしている理樹を見ながらゆっくりと自分のショーツに手をかけ、ふと手を止めた。唯湖はからかうように、
「自分で脱がしたいかね?」
「……っていうか、唯湖さんは服脱がないの?」
「着衣の方が理樹君がシチュエーション的に燃えるかと思ってね」
「そういうのいいから。僕は、裸の唯湖さんが見たい」
唯湖が固まった。
「理樹君はそういう所が、卑怯だ」
真っ赤な顔でつぶやいた。
「僕は唯湖さんのそういう所が可愛いと思うよ」
「今に見てろ」
と、唯湖は起き上がってはだけたシャツを脱いだ。几帳面に小さく畳むと上にブラを乗せる。
「かならず主導権を取り返してやるからな」
ぶつぶつ言いながら服を脱いでいく唯湖はかなり可愛かった。
その時
――ちりん――
と、どこかで音がした。
「あれ?」
理樹が声を上げると。
「どうした?」
裸になったとたん急に内股になり腕で胸を隠した唯湖が不思議そうな顔をした。
「今、何か聞こえなかった?」
「いや……」
唯湖は首を振った。
「正直、少々緊張していてね。周囲に気を払う余裕がなかった」
「僕も、そうだったんだけど……」
一瞬で我に返されたような、そんな清冽な音だった。
「気のせいかな……」
「理樹君」
理樹が首を捻っていると、ベッドから少々棘を含んだ声が飛んできた。
「私が意を決して服を脱いだというのに、キミの関心は着衣の時より薄らいだようだ。やはりキミはマニアックな性癖の持ち主のようだな」
「そ、そんなことないよ」
「ならばそれを証明してくれたまえ、態度で」
唯湖はちょっと拗ねているようだった。顔がゆでたように赤いのは怒っているせいか羞恥のせいかよくわからない。
こういう来ヶ谷さんが、もっとみんなにも知られればいいのに。
理樹の頭の中で『来ヶ谷さん』が。『唯湖さん』に変わる日はまだ遠そうだった。
「あんまりロマンチックじゃなくてごめんね。あとたぶん下手だけどごめん」
「ふむ……」
唯湖は少し機嫌を取り戻したようだった。
「お姉さんは頑丈だ。理樹君に好きなようにされたくらいではびくともしないよ」
ゆっくり脚を開くと、唯湖の黒々とした翳りの下に赤い卑唇がしっかりと見えた。理樹はそそり立った赤黒い首根を唯湖に見せつけるように、堂々と歩いていった。
【 第一章 了 】















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