長門有希の観察 §26(HP編7)
しかし女同士の間にはまた違う理屈があるらしかった。
「ずっとツイてない人生だなと思ってましたけど」
左腕を抱えた女がらしからぬ台詞を紡ぐのを、俺は間抜け面で見つめていたろう。
「今まで貸した分は返してもらわなきゃね」
「ええ」
お馴染みの過電流気味な笑顔を作り上げた青虫は蝶に向かってもう一度腕を伸ばすと、二人は掌を合わせて、ぱんっと音を立てた。
それはなんだか外れていたパズルのピースが嵌るような音で、俺はもしかして取り返しのつかない画を作り出してしまったのかも知れないとふと思った。だからといってパズルを放り投げてバラバラにしようにも、シートはとっくにコーティングされてピクリとも動かないときてる。
それに出来上がった画を俺は割と気に入ってるんで描いた作者を恨む気にはなれない。一言釘は刺しておこうかなと思ってるけどな。ことに次第に増える人垣を見るに、ラブホテルの玄関で立ち話をするカップル達の世間体については入念に説明しておく必要があると思ったさ。
『タンゴ・アルファ』のリビングはネットの画像通り、シティホテルのスイートのようなシックさだった。目立つカラオケの機械やゲーム機がなければ一見本当に区別がつかない感じだ。とはいえ、振り向けば見える素通しの浴室はやはりここが普通の場所ではないことを感じさせて俺たちを緊張させた。
「ずっとツイてない人生だなと思ってましたけど」
左腕を抱えた女がらしからぬ台詞を紡ぐのを、俺は間抜け面で見つめていたろう。
「今まで貸した分は返してもらわなきゃね」
「ええ」
お馴染みの過電流気味な笑顔を作り上げた青虫は蝶に向かってもう一度腕を伸ばすと、二人は掌を合わせて、ぱんっと音を立てた。
それはなんだか外れていたパズルのピースが嵌るような音で、俺はもしかして取り返しのつかない画を作り出してしまったのかも知れないとふと思った。だからといってパズルを放り投げてバラバラにしようにも、シートはとっくにコーティングされてピクリとも動かないときてる。
それに出来上がった画を俺は割と気に入ってるんで描いた作者を恨む気にはなれない。一言釘は刺しておこうかなと思ってるけどな。ことに次第に増える人垣を見るに、ラブホテルの玄関で立ち話をするカップル達の世間体については入念に説明しておく必要があると思ったさ。
『タンゴ・アルファ』のリビングはネットの画像通り、シティホテルのスイートのようなシックさだった。目立つカラオケの機械やゲーム機がなければ一見本当に区別がつかない感じだ。とはいえ、振り向けば見える素通しの浴室はやはりここが普通の場所ではないことを感じさせて俺たちを緊張させた。















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