めにまね
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長門有希の観察 §29(HP編10)

 何秒か間の悪い空白が生まれた。しかし辛抱強く待つと。
(私の仕事はあなたたちの観察)
「それは知ってる。悪いとは言わないさ。だが、これはやり過ぎだろう」
 ホテルの名前はTANGO・A。並び替えればNAGATO。簡単なアナグラムだ。ハルヒがネットで決めた時から介入には気付いていたさ。長門が自分のテリトリーで安心して見届けたいという気持ちは解るから黙ってもいた。ここならボッタに遭う心配もないしな。
 しかしこの部屋の濃密な気配は見届けるなんて生やさしいもんじゃない。天井や壁、床。部屋中から視線を感じる。この感覚は先日と似ている。俺とハルヒと長門が同衾した田舎屋の寝室で、長門の視線に耐えながら俺とハルヒが事に至ったあの空間と。
 ただ視線の量が段違いだ。目の前に長門がいた時より悪い。これじゃまるで長門の胎内にいるような感じだ。四方から濃密な気配を感じて息が詰まりそうになる。